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January 1, 2002
TOPICS-02003

IEC / TC 76 委員会出席報告
(国際電気標準会議/技術委員会No.76:レーザー・LEDの安全規格)

12月15日号で、会議の概要と街の様子をお伝えしましたので、今回は会議の内容を少し詳しくお知らせします。

■ 今回のIEC / TC 76委員会出席の背景

IEC / TC76日本委員会の事務局を務める光産業技術振興協会から 「Working Group 5において、安全規格を製品に活かすための装置の標準化が進められようとしており、海外主導にならないよう日本からも出席してほしい。また、光空間技術に関してのリエゾンパーティとして適当な機関を紹介してほしい。」 とのコメントが寄せられた。

この件についてICSAの運営幹事会で議論した結果、IECでの情報収集のために代表を派遣することが決まり、参加する目的を下記のように設定した。

  1. IECに集まる光空間通信関連企業の安全問題以外の標準化の動きに関する情報収集
  2. IECのTC76委員会におけるICSAの認知度の向上

■ 日程

平成13年11月12日(月)〜11月16日(金)

■ 場所

スウェーデン キスタ

■ 参加資格

日本のTC76委員及びICSA代表として

■ 会議の経過

1 出発前の準備

広報部会に依頼して、ICSAのホームページの英語版を作成するとともに、ハードコピーを準備した。

2 キスタ到着後のキーパーソンとのやりとりと会議の進行状況

@ 光無線機器メーカーの一つであるfSONA 社で Chief Technical Officer を務めるG. Stephen Mecherle Ph.D.と話をする。
  • 日本のICSAについて紹介をした。
  • fSONAはBT (British Telecom) の技術を導入し、カナダで1997年に創設された。装置は1.5μmの波長を使い、4kmまでの光軸制御付きの装置をそろえている。
  • 彼からFree Space Optical(FSO)Alliance(URL:www.fsoalliance.com)の紹介があった。この団体では、統一したFSOの戦略付けを外部の技術団体に対して説明すること、FSOに関心を持つ団体への広報活動をすること、FSO産業の成長性と応用について情報を流すこと等を行なっている。メンバー企業は、 AirFiber 、 AT&T 、 Canon 、fSONA 、Optical Access Optical Crossingなど27社。 fSONAがWebSiteの提供をしている。
  • Free Space Optical(FSO)Allianceは任意団体であり、完全なボランティア組織とのこと。企業間の関係は緩く、ICSAのように定期的な集まりは持っていない。
A TERABEAMのsenior electro-optics engineer を務めるJOHN A. BELL Ph.D. と話をする。
  • 日本のICSAについて紹介をした。彼は、我々が進めている、各社の技術を持ち寄ってベストな装置を目指す試みに強い関心を示した。
  • TERABEAMはアメリカでの最強FSO企業だが、Free Space Optical (FSO)Allianceには加入していない。理由として、Free Space Optical (FSO)Allianceは互いにNDA(秘密保持契約)を結ぶような組織ではないので、議論の中での技術情報の漏洩が心配とのことだった。
  • 現在は、アメリカにおいてFSO企業が集まって装置の標準化を進める状況ではない。
B 日本TC76委員会の光産業技術振興協会増田室長との打ち合わせ
  • リエゾンパーティとして承認を得る件に関して、ICSAのホームページの英語版を、TC76委員会の公式文書として配布することになった。
C Lasermet Ltd.に勤め、WG5 の議長をしているBryan Tozer にWG5の会議の合間に、ICSAを説明したところ、「ICSAの話には関心がある。公式文書を用意してWG5の中で、プレゼンテーションをしてほしい。」 と言われる。これを受けて、ICSAの歴史と目的、屋外光無線通信システム導入ガイドライン、光伝搬特性調査プロジェクトの構成図、英語版ホームページ等の紹介を行なった。
説明後のQ&Aは下記の通り。
Q: 導入ガイドラインのインターフェイスの標準化だが、光ファイバでイーサネットと決めればやることはないのではないか?
A: 電気インターフェイスについては、ネットワーク機能、装置の管理機能などの標準化が必要である。また、機械インターフェイスは寸法を決めないと互換性が取れない。
Q: 伝搬特性プロジェクトで気象計はなぜ両側に必要か?
A: 距離が1kmも離れると、相互の相関が必ずしも良くない。気象についてどの程度の密度の測定が必要かを知ることも今回の実験の目的である。
 
D 15日(木)の夕方に開かれた幹事会において、WG5でのICSAのリエゾンが承認された。
E 最終日の16日(金)に行なわれた本会議で、WG5の議長を務めるTozerから、WG5の成果報告としてICSAのリエゾンの件が報告された。

■ 結論

  1. 今回のIEC会議では光無線装置全体の標準化を、IECを舞台にして行なうような動きは見られなかった。アメリカにおける光無線装置関連企業間の関係は、協力するよりも競争相手としての意識の方が強く、装置本体の標準化には眼が向いていないように見える。
  2. IEC / TC76および光無線通信担当のWG5においてICSAが正式に認知された。

報告者: ソニー(株)BSNC開発部
   乙 部    孝

 


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