今回の講演は主テーマが「屋外空間光伝送技術の最新情報(ICSA等の紹介と標準化への動き)」でしたので全体を2つに分けてお話しました。
Part1:屋外光無線の回線品質向上に向けて
(1)気象などの影響
屋外光無線では雨、霧、雪などの気象条件に依存する部分が多いのですが、これらは空気中の粒子と光との相互作用として捉える事が出来ます。この相互作用は粒子(空気中の雨、雪、埃)の大きさと光の波長の兼ね合いで決まり粒子密度が高くなると当然影響が強く出る事になります。空気中の光の減衰量は見通し距離を表す視程として観測されています。
(2)波長の選択と光軸サーボ
波長の影響に付いては、回線品質に影響を与える非常に視程が悪い状態では波長0.8μmと1.5μmではほとんど差が無いと言う報告(Comparison of laser beam propagation at 785nm and 1550 nm in fog and haze for optical wireless communication Issac I.Kim etal.Pro.SPIEVolume 4214 P.26-37,Optical Wireless Communicatons V)を踏まえて波長の選択は他の要素(コスト、安全性)で選ぶ事が適当と考えます。コスト的には0.8μm帯のデバイスが有利ですが安全面からは1.5μm帯が有利になります。また、光パワーを効率的に対向装置へ届けるためには受光端での光ビーム径を絞ってかつビーム外れを起こさないために光軸サーボを掛けることが必要になりますのでその紹介をしました。
Part2:光無線の標準化への動き、光無線の標準化とビジネス化
(1)IEC60825-1,-12について
IEC60825-1では人体に損傷を与えるレベルの基準であるMPEに光化学的損傷という短波長で顕著になる現象が導入されました。さらにレーザ機器のクラス分けで新しくクラス1M,2M、3Rが新設されました。クラス1M,2Mは裸眼では安全なレベルですが光学機器を使うと危険性があるレベルで主な光無線装置がこれの対象になります。IEC60825-12では装置のクラスにより場所の管理レベルが規定されています。クラス1M,2Mは従来のクラス3Bに比べで管理基準が緩いので光無線装置の導入がやりやすくなります。
(2)ICSAの動きとOBNの活動の紹介
ICSAでは4つの部会と1つのプロジェクトの活動紹介をし、OBNについては活動の一例としてフォーラムの紹介をしました。
45分の時間に44枚のスライドを用意したため話の展開が目まぐるしくわかりにくかったのではと反省しています。もし疑問、コメントなど御座いましたらご遠慮なく下記アドレスまでメールをお送り頂ければと思います。
ソニー(株) B&P技術部門 乙部 孝
otobe@dvn.cpg.sony.co.jp