Question
光源が点光源でなく、大きくなった場合、安全性は緩和されると思うのですが、その際のMPEや放射強度などはどのように算出されるのでしょうか。
Answer
(1)光源が点光源でなく、大きくなった場合の安全性の緩和について
波長400nm〜1400nmの範囲で光源の視角が1.5mrad よりも大きいときは、目の網膜に出来る像が視角につれて大きくなり網膜上のエネルギー密度が下がりますので、安全性が高まります。
*視角:光源が測定点に対して張る角度
例えば、大きさ10cmのランプ光源が2mの測定点に対し張る角度は、0.05rad
となります。その場合の安全の度合いは、測定対象の視角/1.5mrad で増加します。上記の例の場合、視角が1.5mrad
の光源に比べ、約33倍安全度が高くなります。
*1.5mradが最低視角になっている理由は眼球の網膜上の像の大きさは、眼球の動き、水晶体の収差などにより、一番小さく絞れても約30ミクロンといわれています。眼球の大きさは、23〜24mmなので、ここから1.5mradがきりの良い数値として使われていると思われます。
ここで、光源の視角と、眼球内の像が水晶体に対して張る角度は1対1に対応しています。
(2)MPEや放射強度などの算出について
- MPEは、生理学的に動物実験などから得られた情報を基に決められています。あるレベルの光を浴びて障害が起こる確率が50%の光強度の1/10にMPEを定めていますので、MPEのレベルの光を浴びて障害を起こす確率は非常に低いものになります。レーザの安全規格のIEC60825-1では、このMPEは外部から与えられたものとして、安全規格を決めています。
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- 放射強度の決め方について
MPEの値はIEC60825-1のTable 6に与えられています。測定方法は、IEC60825-1のTable
10の測定開口、測定距離で行います。屋外の装置に対しては、望遠鏡での観察の可能性があるので距離2mで、開口50mmで測定します。この測定値が、MPEを超えているとクラス1には入りません。
*JISでは、放射強度の代わりに放射照度(W/m^2)を使っています。
IEC60825-1などの資料は、IECのWebサイトから購入が出来ます。
IECのURL: http://www.iec.ch/
文献の検索画面から希望の文献名を入れて検索してみます。
サーチ入力URL: http://www.iec.ch/searchpub/cur_fut.htm