Question
変調方式に関する質問です。
電波を使ったいわゆる無線通信では、強度変調AMや周波数変調FM、QPSKなど様々な変調方式が採用されていますが、光空間無線においては光ファイバ伝送に採用されている強度変調の1つである「ベースバンドデジタル変調」が主流なのでしょうか?パルス位置変調のような特殊な強度変調やアナログ変調などを採用し、スループットを向上させる試みは行われていないのでしょうか?
無線LANでは、変調方式を工夫することで、高速化を図っているようですが、光無線LANにおいては、どのような試みが行われているのかに興味があり質問させて頂きました。
Answer
電波媒体では、無線LANに限らず周波数帯域の有効利用等のために、多くの変調方式が利用されていますが、光無線の場合は別の理由から変調方式を採用しています。理論的には、電波と同様の各種変調方式が実現できるのですが、実現の容易性やコスト等考えて、以下の様な方式が主流です。屋外通信に利用される場合を例に解答します。
ほとんどの場合、ファイバ伝送に採用されている強度変調「ベースバンド・デジタル変調」が使われます。理由としては、S/N確保が容易でコスト的にも安価であるためです。また、ファイバーとのトランスペアレンスなインターフェースを提供し、余分な機器をネットワーク中に入れる必要をなくすためです。速度的には1.25Gbpsは実用化され、10Gbpsまではこの方式で可能
(LDは通信用1.55umを使用)と考えられます。(Throughputは十分あるわけです)
ただし、特殊な用途、例えばCATVの一括伝送や携帯基地局間通信(前進基地局向け)では、アナログ変調やサブキャリア多重でのPSK変調方式が前後の装置との関係上使われます。しかし、S/Nや歪に対する要求が厳しくなるため、伝送距離は短くなります。
また、簡易な映像伝送(駐車場や駅構内、エレベータ内の監視など)ではFM変調や単純なAM変調がコストが安いことを理由に使われています。
むしろ光無線では、使いやすさ(設置・調整)や回線劣化の確率をいかに減らすかに努力が払われています。