April 1, 2001 |
TOPICS-01001 |
光無線通信のすゝめ
ICSAホームページの開設に当たり − 会長からのご挨拶
我が国における携帯電話が6000万加入を越した。iモード等の携帯電話を用いるインターネットは2000万加入を越した。無線による電話、インターネットに対するニーズには大きなものがある。
携帯電話やこれを用いたインターネット通信は電波を用いて実現されている。電波は限られた資源であり、混信を避け沢山の人々が電波を用いることができるよう、ゾーンを小さくする、セクターを設ける、帯域圧縮符号化により占有帯域幅を狭める、変調方式により高速化する、新しい周波数帯を用いる等の研究開発が行われてきた。
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電波ではなく光を無線通信に用いることが注目される。光無線はテレビやビデオ、テープレコーダ、エアコン等のコントローラに広く用いられている。
IrDA(Infrared Data Association)によるパソコン間のデータ通信にも用いられている。同時通訳用のイヤホンにも用いられている。あまり知られていないかもしれないが、電磁妨害に強いことからパチンコ台の出球データの収集にも用いられている。
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光無線通信システム推進協議会(ICSA:Infrared Communication Systems Association)は10Mbpsのイーサネット型光無線LANの標準化をはじめとする光無線通信システムの開発、標準化、普及活動を行っている。また、ビル間高速光空間通信網推進協議会(OBN:Metropolitan
Optical Beam Network Promotion Council)と協力し、インターネット等のデータ通信用の高速光無線リンクの開発、標準化、普及活動も行っている。 |
光は電波に較べ、直進性が強く物の蔭まで届かない、電波なら通過できる壁を通過できない、霧や雨、雪による散乱を受けやすい等使いにくい面もある。
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しかし、壁やカーテンで簡単に遮蔽でき、隣りや上下の部屋に漏れないことから、また高速広帯域通信を可能とする周波数帯域を確保することが可能なことから、無線LANに向いているとも言える。壁やカーテンで簡単に遮蔽できるという性質は、コンピュータが扱う機器情報が漏洩、盗用されないように対策するいわゆる「テンペスト」技術として、光ファイバ通信、光無線通信が注目されるところである。また霧や雨、雪が無ければ極めて高速広帯域な通信が可能なことから、インターネット通信のようなベストエフォート型の通信リンクに向いているとも言える。
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将来、皆が広く使うようになり、光波長に対する何等かの交通整理、規制が必要な時代が来たら考えることとなろうが、他のシステムと干渉しないようにする、目に危険な程強い光を出さない等の配慮をしさえすれば、現在、電波と違い光無線は自由に使うことができることが魅力である。 |
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2001年3月19日
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光無線通信システム推進協議会会長
国立情報学研究所教授 |
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