■ 白熱電球
ガラス球の中に窒素、アルゴンなどの不活性ガスを封入し、タングステン線で作られたフィラメントに電流を流して2000℃以上に加熱することで、高温による光を放射する照明器具。1879年エジソンにより発明。当初はマダケ(竹)のフィラメントが使われたが、輝度が低く、炭素の蒸発によって電球が黒化する欠点があった。タングステン線が開発されて輝度、効率、寿命がともに向上し、ガス入りにより黒化防止がされて、より高温での使用が可能となった。また、内面つや消しでまぶしさが防止され、二重コイルの採用で一層の効率向上が図られた。光は連続スペクトルで演色性が良い。一般照明用電球は色温度が約2850K、入力電力に対する可視光の効率が約10%、寿命は約1000時間であり、映写・写真撮影用電球は色温度が約3360Kである。ハロゲン電球は窒素、アルゴンの他にヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン物質が封入されており、点灯中にタングステンがフィラメントに戻るハロゲン再生サイクルのために、長寿命、高効率、高輝度が実現し、演色性が良い。色温度は約3000〜3400Kである。
■ パケット
コンピュータ通信において、一塊の大きなデータを複数の小さな塊のデータに分割した場合、この小さな一塊のデータをパケットと呼ぶ。データをパケットに分割して送受信する通信方式をパケット通信という。データを多数のパケットに分割して送受信することにより、ある2地点間の通信回線が一つの信号によって占有されることがなくなり、通信回線を効率良く利用することができる。また、柔軟に経路選択が行なえるため、一部に障害が発生しても他の回線に迂回できるという利点もある。
■ パケット通信
コンピュータ通信において、データをパケットという小さな塊に分割して送受信する通信方式。分割されたデータには送信先のアドレスや、その信号がデータ全体のどの部分なのかを示す位置情報、誤り訂正符号などの制御情報が付加されている。一般には、1パケット当たりのデータ長が一定の範囲で可変可能な可変長パケットが主流だが、固定パケットで通信する方式もある。
■ バックボーン
通信事業者間を結ぶ大容量の基幹通信回線。インターネットサービスプロバイダ内の接続拠点間を結ぶ回線や、プロバイダと他のプロバイダやIX(事業者間相互接続ポイント)を結ぶ回線をいう。光ファイバを用いたNTTの専用線サービスが用いられているが、特に大容量での接続が求められる大手プロバイダとIX間の接続など、基幹部の接続にはGigabit
EthernetなどのLANが使われていることもある。インターネット接続を行う家庭の増加や高速通信の普及に対応するため、各プロバイダのバックボーンは頻繁に増強されている。
■ 発光素子
発光素子としては高速性、波長安定性、出力安定性等が要求される。
LED |
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発光ダイオード (Light Emitting Diode)
信号速度は低速であるが、アイセーフ上は安全性が高い。 |
SLD |
: |
スーパールミネッセントダイオード (Superluminescent
Diode)
LEDとLDの利点を併せ持つ素子で、レーザーダイオードに比べると、低コヒーレント光源であるためにアイセーフ上は安全性が高く、かつ高速伝送が可能である。 |
LD |
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レーザーダイオード (Laser Diode)
超高速伝送が可能であるが、アイセーフ上は注意が必要である。波長が
1400nm以上の場合はアイセーフレーザーと呼ばれ、目に安全である。 |
■ 発光ダイオード
電流を流すと発光する半導体素子の一種。電極にはアノードとカソードの2つの端子があり、アノードに正、カソードに負の電圧をかけると発光する。半導体のPN接合に順バイアスをかけると、n側電子がp側へ、p側正孔がn側へ移動する。その際に電子と正孔の一部が再結合して消滅するが、両者のエネルギーが光となって放出される。波長はpn接合のエネルギーギャップ(禁制帯幅)で決まり、エネルギーギャップが大きいと短波長、小さいと長波長となる。赤、橙、黄、緑、青といった様々な色が実現されているが、光無線には波長が800nm近辺の近赤外光が使われることが多い。エネルギー分布が大きいために、発光ダイオードの光は波長スペクトルが広がる。
■ バナー広告
Webページ上に掲載している広告画像。商用Webページを公開している企業や個人が、ページの一部を広告専用スペースとして確保し、広告を出したい企業に販売することで収益を得る。
■ ハブ
スター型LANで使われる集線装置。各機器に接続されたケーブルはいったんハブに接続され、ハブを介して相互に通信する。Ethernetではハブ同士を接続してネットワーク全体に接続できる機器の台数を増やすことができる。これをカスケード接続という。カスケード接続では、ネットワークの端から端まで通常は3〜4段階程度までハブを接続することができる。
■ 反射
物体の表面で進行波が方向を変える現象。物体に垂直な線を法線とよび、入射方向と法線の間を入射角、反射方向と法線の間を反射角とよぶ。波長に比べて表面が滑らか名場合は入射角と反射角が等しい。表面が粗な場合は各方向に反射され、これを乱反射とよぶ。また、屈折や吸収がなく、入射波が全て反射される場合を全反射とよぶ。
■ 半導体
常温で導体と絶縁体の中間の抵抗率を持つ物質。シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムリン、酸化亜鉛、酸化鉛等、多くの種類がある。特定の不純物を加えることで性質が著しく変化する。電子によって導電性が増す場合をn型半導体、電子が抜けた正孔によって導電性が増す場合をp型半導体とよぶ。pn接合はダイオード、トランジスタ、集積回等で重要な働きをする。半導体素子を用いて整流、検波、増幅、発振、発電等の機能を実現でき、電子回路の小型化、軽量化、小電力化、長寿命化、高信頼化に大きく貢献している。
■ ハンドオーバー
携帯電話やPHSなどの移動通信システムで、端末が通信中に別のセルに移動しても、基地局を自動的に切り替えることで通信を継続できるようにする機能。ハンドオフともいう。
■ バンド幅
ある周波数の範囲のことで、帯域幅とも呼ばれる。データ通信は伝送に使う電波や電気信号の周波数の範囲が広ければ広いほど転送速度が向上することから、通信速度とほぼ同義として用いられることが多い。データ通信の速度が速い(遅い)ことを指して、帯域が広い(狭い)、ともいわれている。
■ 半二重通信
AとBの間の通信において、AからBへの通信とBからAへの通信が同時にはできず、ある時間には1方向のみが可能な通信方式。
■ ビーム構成
送光レンズが単一の場合、レンズの前面近傍が雪等で遮蔽されると、受光部での光密度が大きく変動するおそれがある。これをシングルビームと呼び、一般的なレーザー通信ではシングルビームが使われる。送光レンズを複数構成にし、ビームを複数に分離して出射すると、各ビームが重ね合せになることから、受光部での光密度が安定する。これをマルチビームと呼び、高品質の通信方式で使われる。
■ 光
電磁波の一種で、狭義には波長380〜780nmの可視光をいい、可視光より長波長側を赤外線、短波長側を紫外線という。広義には波長1nm〜1mmくらいまでの電磁波をいう。干渉、回折、ドップラー効果等の波に特有な特長を示す。空間を直進し、異なる媒質の境界で屈折や反射をおこす。進行方向に対して垂直な方向に互いに直交して電界と磁界が振動する横波であることから、偏光や複屈折等の現象を示す。一方では、光電効果や黒体輻射のような粒子としての性質を併せ持つ。プリズムによって光を色光に分解することができ、これをスペクトルという。ある範囲に連続分布する連続スペクトルと、特定波長の線スペクトルがある。黒体輻射は連続スペクトルを示し、励起された原子の放出光は一般に線スペクトルである。物質から放出される一般の光は、原子内の電子が励起状態からよりエネルギー準位の低い軌道に自発的に遷移する際に放出されるもので、これを自然放出光といい、位相のそろっていない光の集合である。誘導放出は入射光の強度に比例して光の放出がおこる現象で、位相がそろっている。
■ 光空間通信
光無線と同義。
■ 光ファイバ
光通信に使用する伝送媒体で、高速かつ大容量の情報を長距離にまで伝送可能である。屈折率の低い周辺部クラッドと屈折率の高い中心部コアからなる同心円の構造を持ち、光を外部に出さずに遠方まで伝送可能である。1本の直径は100〜200μmで、通常は複数のファイバを集めてケーブルとして使用する。低損失ガラスによる光ファイバが開発されたことから、有線系の伝走路として急速に普及し、都市間通信路や海底ケーブル等の幹線系伝走路の主流となった。
シングルモード光ファイバはコア直径が5〜15μmで、取扱いが難しいが伝送帯域は極めて広く、超高速通信が可能である。マルチモード光ファイバはコア直径が40〜100μmで、取扱いが容易であるが、伝送帯域は狭い。
■ 光ファイバ通信
低損失の光ファイバを使用して高速通信を行なう方式で、現在では大都市間をつなぐ幹線系の通信網は主に光ファイバによって構築されている。回線の大容量化のために信号の高速化が図られた結果、現在では2.5Gbps〜10Gbpsが実用になり、また40Gbpsの実用化も間近かである。さらに、波長多重技術によって一層の大容量化が可能になった。幹線系のみならず、最近では通信の高速化を実現するために、市内通信回線を光ファイバ化することも行なわれてきている。
■ 光変調器
光に強度変調をかけるもので、縦型変調器(vertical light modulator)と横型変調器(horizontal
light modulator)の2種類がある。縦型変調器は、LH2PO4(KDP) などの電気光学効果結晶に透明電極を付加し、電極面から光を入射して伝搬させるとともに、同方向の電界を印加して入力光の位相を変化させる、屈折率変化を利用した光位相変調器である。光は電界と平行に進む。横型変調器は、LiNbO3やLiTaO3 などの電気光学効果結晶の上下に電極を付加して電界を印加し、光を横方向から入射して入力光の位相を変化させる、屈折率変化を利用した光位相変調器である。光は電界に対して垂直方向に進む。ともに出力部に偏光板を置くことで、光は強度変調波となって出力される。
■ 光無線
光ファイバを使わずに、赤外線や可視光線による自由空間での伝送によるワイヤレス通信。光の広帯域性のために高速通信が可能、短波長のために機器の小型・軽量化が可能、隣接する無線ネットワークに干渉を与えない、耐干渉性・秘匿性に優れている、マルチパス対策を行いやすい、利用に法的な規制がない等の特長を有しており、オフィスではコンピュータネットワークの実現手段として、家庭ではマルチメディアネットワークの実現手段として、また屋外近距離通信の手段として注目されている。屋内では、光の直進性のために、同じ室内で空間分割を行なうことで通信エリアを細分化し、通信容量を大きく増加させることが可能であり、工事が迅速で安価にオフィス環境のレイアウトフリーやビル間通信が可能となる。また、アクセス回線のラストワンマイルの実現方法としても注目されている。
■ ビット (bit:binary digit)
情報量を表す単位で、コンピュータが扱う情報の最小単位をビットとよぶ。1ビットとは、「0と1」のように2つの情報を表現することが出来る。一般に、nビットの情報量では2のn乗個までの情報を表現することが出来る。例えば、アルファベット26文字を表現するには24 = 16 < 26 < 25 = 32であり、5ビットあれば表現できる。
■ ピンポン伝送方式
送信信号と受信信号を時間的に分離して交互に通信を行う時分割多重方式。送受信信号の間で相互干渉が起きず、また無線の場合は送受信で同一周波数を使える特徴がある。PHSやISDNで使われている。
■ フォトカプラ
電気信号を光で結合させる素子。発光部と受光部を電気的に絶縁できる利点がある。発光部としては発光ダイオードやタングステンランプ等が使われ、受光部としてはPinフォトダイオード、シリコンアバランシェダイオード、硫化カドミウム等が使われる。赤外線発光ダイオードとフォトダイオードの組み合わせが一般的である。樹脂封止により入出力間で数kVの耐圧があり、高速データの結合も可能である。コンピュータの周辺機器や制御機器等に使われる。
■ ブラウザフォン
移動電話機単体でインターネット・メールの送受信やWebサイトの閲覧を可能にしたサービス。パソコンを使う場合に比べて端末機能や通信速度の制約が大きいため、通常のインターネットよりも簡略化された仕様が利用されている。NTTドコモのiモード、auのEZweb、ジェイフォンのJ-スカイなどがある。
■ プリズム
光の屈折、光の分散、像の反転・回転、光束の分割等の機能があり、直角プリズム、コーナーキューブ、ペンタプリズム、ポロプリズム等がある。
■ ブロードバンド
ワイドバンドと同義。
■ プロトコル (protocol)
ネットワークを介してコンピュータ同士が通信を行う上で必要となる、通信手順、通信規約などの約束事。プロトコルの役割を複数の階層に分けて考えることによって、階層間のやり取りは、その間のインターフェイスさえ知っていれば十分であり、それぞれの階層内で処理については関知しなくてよい。プロトコルの階層化のモデルは国際標準化機構(ISO)や国際電気通信連合(ITU)などによって7階層のOSI参照モデルとして標準化されており、これに従ってプロトコルを分類することができる。現在インタネットで標準となっているIPは第3層(ネットワーク層)の、TCPやUDPは第4層(トランスポート層)のプロトコルであり、HTTPやFTP、SMTP、POPなどは第5層(セッション層)以上のプロトコルである。
■ ベストエフォート
通信速度の保証(QoS)がない通信ネットワーク、あるいは通信サービスで、専用線接続サービスなどで使われる用語。通信回線の状況に応じて通信速度が自動で設定される。ギャランティ型(品質保証型)と比べて、サービス提供に必要な設備や人員が少なくてすむため、低コストでサービス提供が可能であり、価格は低い。その反面、わずかな回線中断が多大な損失につながる企業の基幹回線や、常に一定の帯域を確保する必要がある動画配信などの用途には不向きである。インターネットやEthernetは全体としてはベストエフォート型のネットワークである。
■ 変調
ある情報を含む信号(ベースバンド信号)の変化に従って、別の信号を変化させることにより,
ベースバンド信号の情報をその信号に乗せることをいう。一般的には、変化させられる信号を搬送波といい、正弦波が使われている。逆の動作を復調という。光空間通信では、直接変調方式と副搬送波を用いる方式がある。
直接変調方式としてはオンオフキーイング、パルス位置変調等がある。オンオフキーイングは送信データによってLEDやLDの光を直接にオンオフする方式であり、パルス位置変調は送信データに応じた位置に光パルスを送出する方式である。いずれも簡易な方式でよく使われるが、背景光の影響を受けやすく、信号は劣化しやすい。
副搬送波を用いる方式としては副搬送波−周波数変調方式、副搬送波−位相変調方式等がある。送信データで副搬送波を周波数変調または位相変調し、その後、光を強度変調する方式である。構成は複雑だが、背景光やシンチレーションの影響を受けにくく、劣化が少ない。