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June 15, 2001
屋外光無線通信システム導入ガイドライン
◆   目    次   ◆
まえがき 第1章  屋外光無線の概要 第2章  伝送品質
第3章  機械インターフェイス 第4章  電気インターフェイス 第5章  仕様表現

第4章  電気インターフェイス

本章は、当協議会が推奨する電気インターフェイスを示す。

4.1 接続設備群による屋外光伝送装置の区分と留意点

屋外光伝送装置を、接続する設備群によって以下の4種の製品群に分け、各々の屋外光送装置選択時の留意点を記述する。

(1) LAN接続 屋外光伝送装置
IEEE802.3(Ethernet系)を中心とするLAN接続の製品群。 なお、ATM接続はWAN接続の分類とし、光ファイバリピータは別分類とする。
(2) WAN接続 屋外光伝送装置
WAN(シリアル接続や高速デジタル専用線等のデジタル伝送)の通信装置を接続する製品群。なお、光ファイバリピータは別分類とする。
(3) 光ファイバ リピータ接続 屋外光伝送装置
光ファイバ接続で、光リピータとして動作する接続の製品群。本分類の光無線装置は、光ファイバ上の光仕様(波長、信号レベル等)の制約を受けるのみで伝送され、デジタル信号等のプロトコルの制約を受けない仕様となる。
(4) その他製品接続の屋外光伝送装置
上記3種類に当てはまらない 光無線装置の場合『その他の通信設備接続』の分類となる。

4.1.1 LAN接続 屋外光伝送装置の留意点

(1) LAN接続 屋外光伝送装置の定義

下記の様に、LAN間を屋外光伝送装置で接続する製品群である。

図 4-1
(2) 接続インターフェイス

本製品群でLANと接続するインターフェイスは、LANの仕様に合わせて、以下のものがある。

@ 10Mbps LAN

  10Base-5: AUIコネクタ 専用ケーブル接続
  10Base-2: BNCコネクタ 同軸ケーブル接続
  10Base-T: RJ-45コネクタ ツイストペアケーブル接続
  10Base-F: 光ファイバ コネクタ(STコネクタが多いが、SCコネクタもある)

A 100Mbps LAN

  100Base-TX: RJ-45コネクタ ツイストペアケーブル接続
  100Base-FX: 光ファイバ コネクタ(SCコネクタが多いが、STコネクタもある)
  他に、100Base-T4、100Base-T2、100Base-Sx等の仕様がある。

B 1Gbps LAN

  1000Base-T: RJ-45コネクタ ツイストペアケーブル接続
  1000Base-SX: 光ファイバ コネクタ(SCコネクタであることが多い)
1000Base-LX: 光ファイバ コネクタ(SCコネクタであることが多い)

(3) 留意点

接続インターフェイスからは、上記の様に区分されるが、同時に屋外光伝送装置をLAN間の接続機能から見た区分があり、この接続機能によって多くの留意点がある。なお、LAN間接続における、リピータ、ブリッジ、ルータの定義・説明は省略する。

@ リピータとしての接続

多くの屋外光伝送装置はこの機能でLAN間を接続している。リピータ機能で接続している場合で、そのLANが半二重伝送の場合、屋外光伝送装置間でのLAN通信に問題がなくても、エンド〜エンド間において遅延時間が既定値を越え(実際にはHUB台数制約の限界)、通信が行えなくなる場合があるため、注意が必要である。

なお、屋外光伝送装置によるLANとの接続を光ファイバによって行う形態に、LAN接続機能としてのリピータではなく、『光リピータ』(光ファイバ延長装置)としての形態がある。(別製品群として定義している)  この場合においても、半二重LAN接続では問題が発生する場合がある。

A ブリッジ又はルータとしての接続

屋外光伝送装置によるLAN間接続をブリッジ又はルータ機能で実現している場合、上記の半二重伝送での問題は発生しない。しかしながら、ルータ接続の場合、LAN上のプロトコル(IP、IPX、他)の制約が発生する場合がある。

<その他の留意点>

光ファイバ接続時には、コネクタと共に使用ファイバ仕様(シングルモード ファイバ、マルチモード ファイバ)にも注意が必要である。なお、屋外光伝送装置に接続される光ファイバには、マルチモード ファイバが使用されることが多い。

4.1.2 WAN接続 屋外光伝送装置の留意点

(1) WAN接続 屋外光伝送装置の定義

下記の様に、WAN間(通常シリアル接続と呼ぶこともある)を屋外光伝送装置で接続する製品群である。

図 4-2
(2) 接続インターフェイス

WAN間の屋外光伝送装置には、接続インターフェイス、伝送速度に応じて多くの種類が存在する。
以下に、代表的なインターフェイスと速度を記述する。

@ V.24 : 128kbp以下で使用される。
A V.35、X.21 : 56kbps〜10Mbpsで使用される。
B HSSI : 56Mbps以下で使用される。
C I.430(I-BRIとも呼ばれる) : INS64や高速デジタル 64k/128kbpsで使用される。
D I.431(I-PRI、T-1とも呼ばれる) : INS1500や高速デジタル 192k/1.5Mbpsで使用される。
E DS3 (T-3とも呼ばれる) : 45Mbpsで使用される。
F STM-1(OC-3とも呼ばれる) : 155Mbpsで接続される。
G ATM25 : ATM網接続用であり、25Mbpsで接続される。

(3) 留意点

WAN間の屋外光伝送装置は、本来のWAN(回線)を代替する構成となっており、このため、以下の3点に注意が必要である。

@ クロック整合

本来のWAN回線では、WAN回線側からクロックの提供を受ける。このため、WAN間の屋外光伝送装置においても、屋外光伝送装置よりクロックの提供(ST2設定)を行う必要がある。しかしながら、屋外光伝送装置をケーブルの延長として、接続通信装置側よりクロックの提供を受ける(ST1設定)もあり得る。

この2形態を間違えて構成すると、通信が行えない(行えたとしても定期的にエラーが発生する)等、大きな問題となる。

A 制御信号

上記の様に、WAN間の屋外光伝送装置はWAN回線として動作させるか、ケーブルとして動作させる構成となるが、WAN回線として動作させた場合、WAN(通信キャリアの局)よりの制御信号を屋外光伝送装置で生成し、回線状態に合わせて信号を変化させる必要がある。同様に、ケーブルとして屋外光伝送装置を使用する場合、接続通信装置側で生成させる制御信号を相手先に伝送する必要がある。

これらの制御信号の生成・伝達機能が屋外光伝送装置にない場合、接続通信装置側では回線状態が把握できず、屋外光伝送装置間の伝送に異常が発生した場合、メインフレームコンピュータのリセット等々、運用面で大きな問題が発生する場合がある。

B 内蔵交換機能

WAN間の屋外光伝送装置製品の中には、上記の様な単純な伝送装置として動作する製品以外に、交換網(INS網、フレームリレー網、ATM網等)として動作する製品がある。これらの製品では、クロック整合や制御信号の問題はほとんど発生しないが、接続通信装置の要求する交換網機能と合わせた屋外光伝送装置の選択が必要となる。

4.1.3 光ファイバ リピータ接続 屋外光伝送装置の留意点

(1) 光ファイバ リピータ接続 屋外光伝送装置の定義

下記の様に、光ファイバで接続される通信装置を接続する屋外光伝送装置であり、形式としては光ファイバの延長装置(光リピータ)である。

図 4-3
本分類の屋外光伝送装置は、光ファイバ上の光仕様(波長、信号レベル等)の制約を受けるのみで伝送され、デジタル信号等のプロトコルの制約を受けない仕様となる。

(2) 留意点

製品選択時の留意点としては、基本的に以下の3点となる。

@ 接続インターフェイス(コネクタ)

コネクタとしては、SCコネクタが使用される場合が多い。

A ファイバ仕様

接続されるファイバには、大別してシングルモード ファイバとマルチモード ファイバがあり、どちらのファイバを使用するか注意が必要である。

B 送受信波長・波長幅

通信装置から光ファイバ経由で伝送される光の波長、使用される波長幅にも注意が必要である。現在、光ファイバ伝送には、850nm、1310nmが多く使用されているが、DWDM用として1550nmの場合も増えてきている。

C 送受信信号レベル

光ファイバ上に流れる光エネルギは、強い過ぎても弱すぎても、的確な信号伝送が行えない。このため、光ファイバや接続コネクタの減衰を含めて、光エネルギの送受信レベルの設計が重要である。

4.1.4 その他の屋外光伝送装置

その他、上記に当てはまらない屋外光伝送装置の場合、『その他』の分類とする。
以下では、代表的な接続通信装置、インターフェイスと共に留意点を記述する。

(1) ビデオ接続

ビデオカメラ・モニタを接続し、画像伝送を行う構成。この構成において、ビデオ伝送では、BNCコネクタを使用することが多い。なお、アプリケーションによっては、オーディオ伝送やカメラ等の遠隔操作用の信号伝送も同時に必要となる場合がある。

(2) Fiber Channel接続

SAN(Storage Area Network )における各種ストレージデバイスの接続をFiber Channelにて行う構成。Fiber Channelには、光ファイバ接続以外にメタリック接続インターフェイスがあり、また、接続構成に依存したプロトコルの制約があるため、接続するSAN装置環境を明確にする必要がある。

なお、一般にFiber Channel製品を屋外光伝送装置にて接続する場合、一度ATM等のWANインターフェイスに変換して接続する場合も多い。なお、Fiber Channelを利用した大規模なSANではなく、小規模のストレージデバイスの接続を行う場合、SCSI (Small Computer System Interface)が使用される場合もある。


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