屋外光無線通信システム導入ガイドライン-コンパクト版 |
◆◆ はじめに ◆◆ |
第6章 レーザ・LEDの安全
光無線装置からの光放射による、潜在的な危険から人体を保護することや、製造、設置、サービス、運用体制において、適切な予防策を促す必要がある。このために、IECでは、「情報伝送のための光無線通信システムのための安全」についてIEC60825
Part12 へ規定している。本規定の要件等について概要を以下に述べる。光無線データ伝送用機器の取り扱いに関してご参考とされたい。尚、装置のクラス分けに関してはIEC60825-1およびJIS
C6802「レーザ製品の安全基準」に記載されている。
[製造、設置、サービス、運用体制の要件]
(1) 一般事項: 設置場所の形態により、表6−1に従って制限される。
表6-1 製品のクラスとアクセスレベルに対する制限 |
設置場所の形態 |
許容される製品のクラスと設置条件 |
許容アクセスレベル |
非制限区域
unrestricted location |
クラス1又は2 - 制限無し
クラス1M又は2M - 設置条件1
クラス3R - 設置条件2 |
1又は2 |
制限区域
restricted location |
クラス1,2,1M又は2M - 制限無し
クラス3R - 設置条件3 |
1,2,1M又は2M |
管理区域
controlled location |
クラス1,2,1M,2M,又は3R - 制限無し
クラス3B又は4 - 設置条件4 |
1,2,1M,2M,又は3R
3B又は4 - 設置条件4 |
非アクセス空間
inaccessible space |
適用無し |
1,2,1M,2M又は3R |
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図6-1 Commercial structures |
図6-2 Residential areas |
設置条件1: 例) |
発光部から2m以内に人が立入れないようにする。 |
設置条件2: 例) |
光路内に人が立入れないようにする。IPSやAPRを備える。
また、窓などから反射しないようにすること。 |
設置条件3: 例) |
光路内に人が立入れないようにする。IPSやAPRを備える。警告表示。
窓などから反射しないようにし、スピルオーバを区域外に出さない。 |
設置条件4: 例) |
厳重なIPSやAPRを備える。安全管理者による対策を実行する。
窓などから反射しないようにし、スピルオーバを区域外に出さない。 |
(2) APRの要件
- NHZ全体を監視し、人体が被ばくしたことを検知して、所定の時間内に所定のレベルまで光パワーを低下させる。パワー低下中に、MPEを超える被ばくがないこと。
- 機構の二重化など、一箇所の故障で機能が損なわれないこと。
- クラス3B、クラス4の装置で単一の故障が検出されたときは、その運転を禁止する。
(3) 導入・サービス組織の要件(警告標識)
アクセスレベル |
設置場所の形態 |
非制限区域 |
制限区域 |
管理区域 |
1 |
不要 |
不要 |
不要 |
2 |
不要 |
不要 |
不要 |
1M |
− |
装置に隣接 |
装置に隣接 |
2M |
− |
装置に隣接 |
装置に隣接 |
3R |
− |
− |
装置に隣接 & 入口 |
3B |
− |
− |
装置に隣接 & 入口 |
4 |
− |
− |
装置に隣接 & 入口 |
Reference : |
IEC60825-12 Safety of free space optical communication systems used for transmission of information |
【用語】
access level |
光無線装置の設置により、人が被ばくする可能性があるレベル |
access level 1 |
人体へ被ばくするAELがクラス1を超えないレベル |
access level 1M |
人体へ被ばくするAELがクラス1Mを超えないレベル
(以下同様にクラス2、クラス2M、クラス3R、クラス3Bと続く) |
access level 4 |
人体へ被ばくするAELがクラス3Bを超えるレベル |
AEL |
被ばく放出限界: 各クラスで許容される最大被ばく放出レベル (accessible emission limit) |
APR |
自動出力低下 (auto power reduction) |
controlled location |
管理区域: 訓練を受け権限を与えられた者以外立入れない区域 |
inaccesable space |
非アクセス空間: 通常は人が位置することが出来ない場所 (地表6m以上の空中など) |
IPS |
設置保護システム (installation protection system) |
MPE |
最大許容露光量: 通常の環境下で、人体に照射しても有害な影響を与えることがないレーザ放射のレベル
(maximum permissible exposure) |
NHZ-Aided |
光学機器(双眼鏡など)を使用することによりNHZとなる区域 |
nominal hazard zone |
公称障害区域(NHZ): 光放射が適用MPEを越える区域 |
restricted location |
制限区域: 権限を持つごく一部の者は立入れる区域 |
spillover |
受光部から外れ、実際には無効となる光。スピルオーバ |
unrestricted location |
非制限区域: どんな人でも制限なく立入り出来る区域 |
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