屋外光無線通信システム導入ガイドライン |
◆◆ 目 次 ◆◆ |
4.3 保守・運用
屋外光伝送装置の保守・運用に関して、管理装置(機構)の接続形態と、管理項目(内容)に分けて記述する。
4.3.1 管理装置の接続形態
管理装置(機構)の接続形態は、以下の2形態が存在する。
@ 装置内蔵の管理機能
A 専用の外部管理装置接続
また、専用の外部管理装置接続の形態には、通信設備とは別インターフェイスで接続するか、同一のインターフェイスで接続するかによって、以下の2形態が存在する。
A−1 アウトバンド接続
A−2 インバンド接続
以下に、各々の形態に関して記述する。
(1) 装置内での管理
屋外光伝送装置本体内での表示・設定等の機能を持っている場合の分類である。なお、この管理機能では、管理機能を内蔵した光無線装置のみの管理を行う形式と、対向の光無線装置までの管理を行う、2形態が存在する。また、表示装置は装置内蔵のため、LED、LCD等にて行われる。
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図 4-5 |
(2) 外部接続−アウトバンド接続
管理機能は、屋外光伝送装置とは別の管理装置で行う形式の一つであり、接続通信装置とは別のインターフェイスで行われる。
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図 4-6 |
管理装置との接続インターフェイスとしては、LAN・シリアル・その他独自インターフェイスが存在する。接続する管理装置との接続インターフェイス・プロトコルは、以下のものが多い。
@ V.24(RS-232) 非同期通信
パソコン(PC)や簡易端末が接続されることが多い。
A LAN(10Base-T等)
下記のインバンド接続の形態とよく似ているが、通信装置とは別の管理用インターフェイスで接続される点が異なる。管理用の通信プロトコルとしては、Telnet
や SNMP(Simple Network Management Protocol)が多い。
B 独自インターフェイス
この場合、PC等ではなく、専用ハードウェアの管理装置が接続される場合が多い。
(3) 外部接続−インバンド接続
管理機能は、屋外光伝送装置とは別の管理装置で行う形式の一つであり、接続通信装置(通常はLAN)経由のインターフェイスで行われる。一般には,Telnet、SNMP、HTTP(WWW用プロトコル)等による管理となる。
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図 4-7 |
4.3.2 管理項目
ネットワーク管理領域に関して、基本概念は
ISO 7498-4にて、『Specific management
Function
Areas』として説明されている。詳細多岐に渡るため、管理領域項目のみ、下記に記述する。詳細はISO並びにJIS資料を参照していただきたい。
@ 障害管理
A 性能管理
B 構成管理
C セキュリティ管理
D 課金管理
(1) 管理対象項目
これらの管理領域における実運用・保守作業を考えると、運用操作内容と屋外光伝送装置の機能ブロックから、以下のように管理対象項目の分類が可能となる。
【モニタ項目】
@ 光空間伝送部分
光源素子使用時間
光受信レベル
装置間Link確立
装置間Linkの品質
A 通信設備接続部分
接続通信装置との制御信号
送受信データ
B 屋外光伝送装置全体
電源状態(電圧等)
実運用では、上記のモニタ項目を元に、問題発生時に、管理装置より各種警報を出力して下記の制御を行うこととなる。
【制御項目】
@ 光空間伝送部分
光送出レベル制御
光軸制御
A 通信設備接続部分
接続通信装置との信号制御
接続通信装置への送出データ禁止(接続禁止)
B 屋外光伝送装置全体
装置機能停止
再立ち上げ
4.3.3 SNMPに関して
一般に、LAN上での機器管理にはSNMPが多く使用されている。
このため、SNMPを使用した屋外光伝送装置においての留意点を以下に記述する。
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図 4-8 |
SNMPを使用した管理システムでは、管理対象機器内にSNMPエージェントと呼ばれる機能が内蔵され、このSNMPエージェントと管理装置であるSNMPマネージャ間の通信(この通信プロトコルはSNMPである)により、各種の管理が実現される。なお、SNMPは現在Version
1〜3が規定されており、どのVersionのSNMPを使用するか、明確にしておく必要がある。
(1) MIBについて
SNMPマネージャで、対象装置内の各種管理項目を理解させるために、MIB
(Management Information Base)と呼ばれる形式に従った管理項目記述ファイルが用意されている。
代表的なMIBとしては、以下のものがある。
MIBU (RFC 1213/1907)
Standard Repeater MIB (RFC 1516)
Ethernet-Like MIB (RFC 1643)
Standard Bridge MIB (RFC 1493)
屋外光伝送装置のLAN接続部分には上記のMIBが使用されるが、光伝送部分に関して、標準のMIBは規定されていない。このため、プライベート
MIBと呼ばれる独自MIBをSNMPマネージャに組み込む必要がある。(プライベート
MIB に関してはRFC 1700を参照の事)
このプライベート MIBは、各メーカ・ベンダーにて作成されるが、管理対象項目の混乱を避けるため、作成メーカ・ベンダーの登録番号(SMI:Structure
of Management Information)が使用される。このため、SMIコードを登録していないプライベートMIBを使用した場合、管理システムの異常動作が発生する可能性があり、注意が必要である。
(2) SNMPマネージャに関して
SNMP管理システムの主装置であるSNMPマネージャは通常、PC等で動作するソフトウェアである。
このSNMPマネージャソフトウェアにMIBを含む管理対象機器情報を組み込んで、SNMP管理システムが構成されるが、SNMPマネージャソフトウェアによっては、表示・操作用に上位ソフトウェアとしてアプリケーションソフトウェアが必要な場合もある。特に、プライベートMIBを使用する屋外光伝送装置を管理する場合、アプリケーション
ソフトウェアが必要となる場合が多い。
(3) SNMP管理での留意点
上記のように、屋外光伝送装置をSNMPで管理する場合、多くの留意点がある。
以下に、留意点をまとめる。
@ |
屋外光伝送装置にSNMPエージェントがあるか。 |
A |
使用するプライベートMIBは登録されたSMIコードが使用されているか。 |
B |
SNMPマネージャを動作させるプラットフォームPC/WSは何か、OSは何か。 |
C |
SNMPマネージャ ソフトウェアは、ベンダより提供されるか、別途市販製品を使用するか、使用するプラットフォームPC/WSに対応しているか。 |
D |
SNMPマネージャ上のアプリケーション ソフトウェアが必要か、又、そのアプリケーション
ソフトウェアは使用するSNMPマネージャ ソフトウェア、プラットフォームPC/WSに対応しているか。 |
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