屋外光無線通信システム導入ガイドライン-付録 |
◆◆ 目 次 ◆◆ |
付録: IEC60825 Part12
Safety of Space Optical Communication System using Directed Beams からの抜粋
4 技術要求
4.1 一般的な事項
光無線装置の設置に関して、Table 1、2によって行う。
(1) 送信側 Table 1に基づいて設置を行う。
Table 1 - Class Restrictions for Transmitter Sites
Transmitter Location Type |
Acceptable Transmitter Class |
Unrestricted |
Unconditional |
Class 1 or Class 2 |
Conditional |
Class 1M or Class 2M |
Restricted |
Class 1, 1M, 2, 2M, and/or 3R |
Controlled |
Class 1, 1M, 2, 2M, 3R, 3B and/or 4 |
(3) 責任の所在
光無線装置を運用する組織が以下のように最終的な安全使用の責任を持つ。
- 人が入る可能性のある光の通り道について、適切な管理レベルを設定すること。
- クラスや露光レベルの要求が、管理レベルでの設定値を超えないように確認すること。
- 設置や保守が、4.2項を満足できる組織により行われるように確認すること。
4.2 location typeによる人体への露光とクラス分けの要求
光無線装置が置かれる場所は、装置により許容されるクラス分けとそれに伴う管理がされることが求められる。Figure1 商業地域 と、Figure2 住宅地域 を示す。
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Figure 1 - Commercial Structures |
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Figure 2 - Residential Areas |
4.2.1 unrestricted locationに関する要件
通常、一般の人が進入する場所で、2通りに分ける。
4.2.1.1 unconditional use
無条件: |
あらゆる制限なし |
送信側: |
クラス1またはクラス2 |
受信側: |
集光光学系を使っても、MPE以下 |
4.2.1.2 conditional use
条件付き: |
集光装置の使用が通常予想されない、商業用、工業用私的区域 |
送信側: |
クラス1、2、1M、2M |
受信側: |
裸眼でMPE以下 |
4.2.2 restricted locationに対する要件
通常は、一般の人の立ち入らない場所で、時折レーザーの安全についての教育を受けていない人が立ち入る可能性がある場所。(例:ビルの窓拭き作業場所、業者の立ち入るビルの屋上など)
送信側: |
クラス1、2、1M、2M、3R |
受信側: |
裸眼でMPE以下 |
4.2.3 controlled location に対する要件
レーザーの安全についての教育を受けた限られた人だけが立ち入り可能な場所。(例:屋上のフェンスで囲まれた場所、鍵の掛かった場所)
送信側: |
クラス1、2、1M、2M、3R、3B、4 |
受信側: |
下記の条件下で任意のパワーレベル |
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a) |
クラス3B、クラス4の装置を使う場合、ビームに沿って全体のNHZ(nominal hazard
zone、裸眼で光レベル>MPE) が監視されていること |
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b) |
NHZ内の受信器からあふれた光が、NHZ内にあること。 |
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c) |
付加的なあふれ光のレベルが、集光光学系を使うとMPEより大きく、裸眼に対してはMPEより小さい場合は、unrestricted
conditional location、restricted location、controlled location、またはinaccessible
space(4.2.4項)に含まれること。 |
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d) |
location protection system が人の進入を検知して光パワーを下げること。 |
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e) |
クラス1Mの器材は、クラス1Mのラベルを貼ること。 |
4.2.4 inaccessible spaceの要件
- unrestricted でもなく、restricted でもなく、controlled でもない空間。
- 水平に建物から2.5m離れる空間。
- unrestricted location や restricted location から2.5m離れる空間。
- unrestricted locationから上方6m以上離れる場所。
- restricted location から 上方3m以上離れる場所。
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* |
inaccessible spaceではクラス3B、クラス4で課せられる下記条件を満足する場合、クラス分けを問わず、裸眼でMPEを超えることが許される。 |
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a) |
すべてのNHZを監視すること。 |
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b) |
航空機がNHZを横切るときは、しかるべき航空機監督官へ通知する。 |
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c) |
受信側がNHZ内であるときは、そこをcontrolled locationとする。 |
その際、あふれ光もNHZ内に収める。
裸眼での光レベルがMPEより小さく、光学系での光レベルがMPEより大きくなる付加的なあふれ光の存在するところは、unrestricted
conditional location、restricted location、またはinaccessible spaceとする。
4.3 クラス分け
- AELはIEC60825-1にしたがって測定する。(AEL : Accessible Emission Limit)
- 伝送に使う一次ビームと軸合わせに使う二次ビームなど、すべてを測定する。
- APR付きのシステムでは、2秒経過後に測定を行う。
- 上記2秒間に、クラス1M、クラス2MのAELを超えてはならない。(裸眼で安全)
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* |
2秒間の根拠 |
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双眼鏡などの光学系で正しく光軸を合わせるために、2秒以上はかかると想定している。 |
測定が難しく、計算で十分代替できるときは計算値でよい。
4.4 automatic power reduction mechanism (APR)
APRはクラス分けでの測定に使用してよい。APRとは、人が光ビームに曝されるときに、所定の時間内に所定のレベルまで光パワーを下げる機能をいう。APRは下記の機能を満足すること。
a) |
NHZ全体をモニターすること。 |
b) |
人体が光に曝された状態を検知して、あらかじめ決めた時間内に所定の光レベルまで光パワーを低下させること。 |
c) |
パワーを下げている間に、人体がMPEを超える光レベルに曝されることがないこと。(光のパワー密度が問題になる) |
d) |
1個所の故障では、機能が損なわれないこと。(機能実現部分の二重化など) |
e) |
実用性が許せば、クラス3Bの装置で単一の故障が検出されたときは、その運転を禁止すること。 |
f) |
クラス4に関しても同上。ただし、それが不可能な場合、故障の累積がAPRの安全機能の喪失につながらないこと。 |
4.5 不要なビームの反射と不要なビームの放射方向の誤りを避けること
4.6 組織に対する要件
4.6.1 ユーザーがすぐに使える光無線装置を提供する製造者の要件
下記を満足すること。
- IEC60825-1の規約を遵守すること。
- 下記の付加的な情報を提供すること。
a) |
危険を及ぼす可能性のある人体への露光を防ぐ技術的な仕組みの適切な説明。 |
b) |
危険を及ぼす可能性のある人体への露光を避けるために、適当な組み立て、保守、安全な使用への適切な指示。 |
c) |
装置が安全に設置され、保守が行われるように、露光レベルが4.2項で規定した値を超えないような指示。 |
d) |
APR 及び location protection system の反応時間。 |
e) |
設置、保守が安全装置の停止を必要とするとき、安全機能の回復とその機能チェックに関する情報の提供。 |
f) |
安全な光無線装置の使用につながる情報の提供。 |
4.6.1.1 付加的な製造者への指示
製造者はこの規格に基づいて、設置マニュアルの中で明確にlocation type を定義しなければならない。またマニュアルには下記の警告を含むこと。
"ここに示された以外の制御、調整をした場合、危険な露光につながる可能性がある"
*各 location type に応じた表示は、IEC60825-1の改訂版を参考にすること。
4.6.2 設置と保守を行う組織の要件
露光レベルが4.2項で規定されたものになるように、製造者から提供される指示に従うこと。
クラス1以外の装置での設置と保守を行う組織は下記を遵守すること。
a) |
適切で安全な設置の訓練とサービス要員の提供をすること。 |
b) |
controlled location と restricted location に対して、適切なアクセス管理と警告ラベルの貼り付けを確実にすること。 |
c) |
location protection monitor が使われる場合、4.2項に記述したように、適切に作動することを確認すること。 |
d) |
controlled location と restricted locationでのクラス3B、クラス4の光パワーのレベルが予測される条件(例:ビーム光軸の安定性の見積もり)にて4.2項の条件を満足すること。 |
4.6.3 運用組織の要件
運用組織は、最終的な安全に関する責任を持つ。これは下記を含む。
a) |
光の経路で人が露光する可能性のある部分でのlocation type の 明確化。 |
b) |
上記 location type に応じた露光レベルの確認。 |
c) |
4.2項及び4.6.2項の要件を満たして設置と保守が行われることを確認。 |
d) |
restricted location、controlled location への進入についてレーザーno安全の観点から適切に説明がなされること。 |
e) |
システム製作、運用、設置、保守と安全の要求の間に矛盾が生じないようにすること。 |